スライド1 表紙
Phase1-5では恒常性(homeosistasis)体重増加・減少の機序
スライド2 目次
目次
*体重増加の原因は?
*白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分布
*白色脂肪細胞への脂肪の「取り入れ」と白色脂肪細胞から血液への脂肪の「供給」
*善玉アディポサイトカイン・悪玉アディポサイトカイン
*何故、肥満は筋肉の減少があるのか!栄養学的視点
*BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)の有効性
*サルコペニア・フレイルの予防には何が必要なのだろうか
スライド3 体重増加の原因は?
体重増加の原因は過食による体脂肪の増加が一般的です。
しかし、それほど食べていないのに体脂肪が増えるという病気もありますが、ここでは過食(消費エネルギーより摂取エネルギーが多い)について解説します。
一般的には、摂取するエネルギーに対して、消費するエネルギーが過剰な場合に体重の増加があります。
それでは、体重の増加に関与する栄養素とは何か。それは熱産生三大栄養素である、タンパク質、脂肪、糖質です。とかく、脂肪と糖質が体重の増加に影響すると考えがちです。然し、タンパク質、脂肪、糖質は熱産生三大栄養素と言われるように、エネルギーを産生する栄養素です。言い換えればこの3つの栄養素の何れをとっても、過剰摂取は脂肪に変わるという事です。1日の総エネルギー消費量の大部分は基礎代謝(約60%~70%)を占めます。その他、摂取した食物を消化・吸収するために消費する、食事誘発性熱産生(約10%)、そして、起きている間の身体活動量(約30%)の三つで構成されています。基礎代謝は体格、食事誘発性熱産生は食事の量に関係がありますので、総エネルギー消費量の多寡は身体活動量により異なります。何れの場合においても、言えるのは、筋肉が多かろうが、食べすぎは肥満になるという事です。
スライド4 白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分布と役割
大別すると、白色脂肪細胞は過剰なエネルギーを蓄積する倉庫です。熱産生三大栄養素のタンパク質、脂肪、糖質の何れも過剰な場合、エネルギーの一時保管として、脂肪に変えて蓄積します。
このシステムはとても効率的と言えます。糖質、タンパク質は1gあたり、4Kcalのエネルギー量ですが、脂肪は1gあたり9Kcalのエネルギー量ですので、同じ1gでも、糖質とタンパク質に対して脂肪は2倍以上のエネルギーを蓄積できるという事です。いざとなったら、糖質、タンパク質より多くのエネルギーを供給できますので、熱効率が高いという事です。しかし、この脂肪の蓄積が肥満となり障害となる場合があります。
一方の褐色脂肪細胞は同じ脂肪細胞でも白色脂肪細胞とは異なり、エネルギーを消費してくれるという特徴があります。ここで、UCP1(Uncoupling
Protein 1)という少し難しい物質が出てきます。
この物質はミトコンドリアの内膜に存在するたんぱく質でミトコンドリア内での熱産生を促進する働きがあります。ですから、褐色脂肪細胞は熱を作る=エネルギーを消費してくれると解釈されているのです。
脂肪細胞で問題となるのは「肥大した白色脂肪細胞」です。正常な大きさの白色脂肪細胞からは、アディポネクチンという物質が血液中に分泌され、血管のメンテナンスをしたり、糖尿病、高血圧、高脂血症や動脈硬化などメタボリックシンドローム
症を予防・改善する働きがあり、善玉ホルモンと言われています。反対に、「肥大した白色脂肪細胞」からは、アディポサイトカインと言われる物質を作り出します。このアディポサイトカインは、血圧を上げる、インスリン抵抗性、血管を傷める、満腹感を感じないようにする抗レプチン作用などの働きがあり、悪玉ホルモンと言われています。
スライド5 白色脂肪細胞への脂肪の「取り入れ」と白色脂肪細胞から血液への脂肪の「供給」
白色脂肪細胞への脂肪の蓄積は、血中のアミノ酸、脂肪、糖質(三大熱産生栄養素)がエネルギーを作る工場、クエン酸回路というところに入っていきます。ここでエネルギーの通貨であるATPの前駆体である電子伝達系を作り、酸素の力を借りてATP(エネルギー)を作ります。
その過程で余分なアミノ酸、脂肪、糖質(三大熱産生栄養素)は、クエン酸回路から一旦脂肪という形で外に出ていきます。この一旦出て行った脂肪が脂肪細胞に取り入れられます。そして、血液中の脂肪が減少すると脂肪細胞から脂肪を取り出し、正常な値に戻します。脂肪細胞への脂肪の出納は摂取した食事量により変わります。過食の場合は三大熱産生栄養素は脂肪として白色脂肪細胞に蓄積されます。これが肥満です。特に白色脂肪細胞は内臓周辺におおく分布しており、蓄積しやすいのです。この内臓脂肪がアディポサイトカインを放出し「生活習慣病」と深く関わっています。ですから、特定健診・特定保健指導(メタボ検診)では、腹囲を計測します。これは内臓脂肪の多寡を測定しているのです。男性85㎝以上、女性90㎝以上がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とされます。
スライド6 善玉アディポサイトカイン・悪玉アディポサイトカイン
脂肪細胞からは約500種類ともいわれる生理活性物質を分泌しています。言い換えれば、500か国語を話せる超バイリンガルです。この生理活性物質をアディポサイトカインと言います。代表的なものとして、アディポネクチン、レプチン、FFA、TNF-α、PAI-1などがあります。このアディポサイトカインがヒトの体に対して良い働きをするのか、悪い働きをするのかを大別すると。 アディポサイトカインには、動脈硬化を予防する「善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン)」と、動脈硬化・耐糖能(インスリン分泌低下)・インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)・肥満を促進させる「悪玉アディポサイトカイン(PAI-1やTNF-αなど)」がある。この悪玉アディポサイトカインは脂肪細胞が肥大(肥満)すると分泌されやすくなります。反対に、脂肪細胞が正常な大きさの場合は善玉アディポサイトカインが分泌され体重の維持に働きます。
スライド7何故、肥満は筋肉の減少があるのか!栄養学的視点
運動不足や加齢により筋肉組織が脂肪に置き換わる現象を「脂肪変性」と言います。 特に抗重力筋(姿勢維持筋)で起こると、姿勢の維持が困難になることがあります。年を取ると姿勢の維持が難しくなり、腰が曲がった状態はお年寄りの特徴ですね。
また、骨格筋への脂肪蓄積は前スライドで説明したように、悪玉アディポサイトカインの働きでインスリン抵抗性を出現させ、糖尿病のリスクが高まる要因となります。
脂肪物質が異常な量または異常な場所に出現する一例として、肝の脂肪変性、動脈硬化症の内膜へのコレステロールの沈着があります。この脂肪変性が人体を支える筋肉におこると、筋力の低下をまねき、歩行スピードが遅くなる。重いものが持てない。握力の低下がある。階段の上り下りがきつくなる等が現れます。これらの筋肉の減少は「サルコペニア」の判断基準にもなります。
スライド8 BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン:(branched-chain amino acids)の有効性
BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)必須アミノ酸です。このBCAAは生理活性物質として筋肉の合成に働き、筋肉や血液中にあります。筋肉中のタンパク質分解を抑えたりします。中でもロイシンは筋肉の合成に強い影響を持っています。また、運動時にはエネルギー源として利用されると考えられており、速やかに消費されます。その速さはグルコースより速いとされ、運動選手は試合前の補給として飲用することがあります。しかし、このアミノ酸は必須アミノ酸ですので、体内で合成されることはありません。必ず外因性(食事もしくは、サプリメント)の栄養素として摂取しなければなりません。とはいえ、このBCAAを多く摂取すれば良いという事ではありません。大切な事は、非必須アミノ酸、必須アミノ酸を十分に摂取するという事です。「年をとったら“肉”を食べよう!!!」はBCAAの摂取に向いている食品です。
とかく、非必須アミノ酸は体内で合成されるから必須ではないと捉えられがちですが、考えようによっては、ヒトの体の中では必ず必要であるために合成されるとも解釈できます。非必須アミノ酸にしても、必須アミノ酸にしてもどちらか一方が優先するわけではありませんし、サプリメントやアミノ酸製剤を除いては、BCAAだけが含まれる食品はありませんから、植物由来のタンパク質、動物由来のタンパク質を組み合わせて摂取することが大切です。但し、サルコペニアのように筋肉が減少している、もしくは減少の過程にある方は、サプリメントやアミノ酸製剤などが必要な場合があります。その時は、かかりつけの医師、薬剤師に相談することをお勧めします。
スライド9 サルコペニア・フレイルの予防には何が必要なのだろうか
サルコペニア(筋肉減少)筋肉の量と力が低下した状態。主に身体的な機能の低下を指します。
フレイル(虚弱)サルコペニアを含む、より広い概念としてとらえられています。心身のさまざまな機能が低下し、ストレスに対する抵抗力が弱まった状態を指します。また、身体的な要素だけでなく、認知機能の低下、気分の落ち込み、社会的なつながりの減少、活動量の低下、栄養状態の悪化など複合的な要因が含まれています。
筋肉は年齢を重ねるにつれて減少します。去年まではこの荷物くらいは持てたのに・・・。お客様ですよ、ちょっと待ってください、今行きますので。と言ってなかなか立てない。等など、年齢のせいだと片づけてはいませんか?
もしかしたらサルコペニアが始まっているのかもしれません。高齢になると筋肉を増やすことより、今ある筋肉を減らさない工夫が必要です。筋肉はタンパク質の摂取だけで増えるわけではありません。筋肉に刺激(負荷)を掛ける必要があります。要するに体を動かす習慣をつけることが重要だという事です。私は足が悪いから歩くことができないの・・・。腰が痛くて運動なんて出来ない等、難しい問題もあります。無理のない範囲で動かせるところを動かすことから始めては如何でしょうか。運動に関してはかかりつけ医に相談してみてください。適切な情報と方法が聞けるはずです。運動・栄養・習慣化が筋肉の減少を最小限に抑えてくれます。








