スライド1 表紙
スライド2 目次
スライド3 筋肉の役割筋肉の役割には、体づくりから健康寿命まで人間の一生にかかわっています。一つ目は、ヒトの体を動かす。物を動かす、持ち上げるなどの動作です。二つ目は、血液循環にかかわっています。筋肉の収縮により静脈が圧迫され、血液が押し上げられます。この働きを「筋ポンプ作用」と言います。特に脚の筋肉が重要とされています。三つめは、基礎代謝の上昇です。体力を付けましょうと言いますが、この体力とは基礎代謝を上げることです。筋肉をつけると基礎代謝は上昇し、肥満予防、冷え性の改善、生活習慣病予防などの効果があります。四つ目は、貯水機能があります。ヒトの体の水分の大部分を筋肉が蓄えています。この貯水機能は脱水を起こし難くしたり、熱中症のリスクを低くしたりします。筋肉量の少ない高齢者が脱水や熱中症をおこしやすい理由はここにあります。五つ目は、関節の保護です。筋肉によって関節をしっかり固定しています。また、血液の流れが無い関節では保温効果を持たせ、関節の動きを円滑にする働きがあります。六つ目は、骨を丈夫にする働きがあります。これは、骨の健常に必要な外部刺激として、筋肉の物理的な動きによるものです。七つ目は、エネルギーの貯蔵です。フェーズⅠでも説明しましたが、筋肉はタンパク質でできています。タンパク質は熱産生三大栄養素の一つであり、タンパク質1gは約4Kcalのエネルギーを持っています。筋肉量が多いという事はそれだけエネルギーを沢山貯蔵していると言えます。いざとなった時(食事ができなくなった状態)には、この筋肉からエネルギーを取り出すことができます。八つ目は、内臓保護、内臓は複雑な機能を持った臓器や血管があります。この重要な部分を外部からの衝撃を強固な筋肉が保護しています。最後に、生理活性物質の合成です。生理活性物質とは、生命活動の維持や調整をするための化学物資です。また、細胞内に取り込まれた栄養素を運搬する担体はタンパク質です。筋肉は簡単には増やすことは困難ですが、筋肉の元はタンパク質です。そのタンパク質は外部から取り入れなければなりません。そして、外部から取り入れたタンパク質が熱産生のために消費されず、タンパク質本来の働きとしての、体構成物質、生理活性物質として利用されるために、糖質、脂肪でしっかりエネルギーを摂取することが重要です。
スライド4 サルコペニア・フレイルとは何か、ロコモティブシンドロームとはサルコペニアとは、筋肉量の減少に伴って筋力や身体機能が低下している状態を表し、ギリシャ語の“サルコ(sarco)=筋肉)”と“ぺニア(penia)=喪失”を合わせた造語です。このサルコペニアの診断基準は、骨格筋量、握力、歩行速度の3つをもとに、一定以上低下している場合にサルコペニアと診断されます。前スライドで示したように、筋肉の減少はいろいろな機能の低下につながり、ADLの低下を招き、寝たきりの状態になるリスクがあります。筋肉の低下を示す用語は多くあります。サルコペニア、フレイル、ロコモティブシンドロームなどがあります。サルコペニア・フレイルは筋肉が減少したことによる虚弱な状態。ロコモティブシンドロームはサルコペニア・フレイルに含まれます。いずれにしても筋肉の減少と機能の低下によるADLの低下が問題となります。
スライド5 廃用性機能低下・廃用性筋委縮廃用性機能低下とは、病気や骨折でベットに寝たまま体を動かさない、動くことができない等を原因とする二次的に身体機能が低下することを言います。一方、廃用性筋委縮とは、過度な安静状態の維持やギブスによる固定、寝たきりなどで筋肉を使わない状態が継続することで、筋肉が萎縮し、筋力が低下することを言います。両者に共通することは、筋肉量が減少するという事です。ただ単に筋肉量が減少したため動きが緩慢になった。物を持つ力が入らないなどの障害のみならず、骨が弱くなったり、心肺機能が低下したり、消化器、代謝系の低下を招くことをいいます。また、寝たままのヒトでは、骨と皮膚の間の緩衝材となっている筋肉が減ることにより、直接皮膚に骨があたり、褥瘡が発生しやすい状態となります。重いものが持てなくなった。動くことが苦痛になった。筋肉の減少はそれだけではないのです。
スライド6 何故、筋肉が減少するのか! 栄養学的視点飢餓や減量時には体重の減少が現れます。勿論、食べないわけですので体重が減少するのは当然ですが、それでは、体のどの組織が減少するのでしょうか。体脂肪でしょうか?筋肉でしょうか?水分でしょうか?。答えは、いずれも減少します。過体重のヒトでしたら体脂肪の減少は好ましい体重減少といえます。しかし、都合よく体脂肪だけが減少すれば良いのですが、そうはいきません。脂肪を燃焼するには「糖」が必要なのです。栄養学では「脂肪は糖の炎のなかで燃える」という言葉があります。PheseⅠでは、脂肪は薪、糖はマッチであると説明をしました。薪は自分で火をつけることはできません。薪を燃やすには、着火剤としてのマッチがあってはじめてエネルギーとして燃焼することができます。とはいっても脂肪にも少しの糖が含んでいます。トリアシルグリセロール(TG)は三つの脂肪酸をつないでいるのが糖ですので、若干の糖の供給は有りますが、十分な量ではありません。飢餓や減量中には十分な糖質を摂取することができません。そこで、筋肉のタンパク質を分解し、アミノ酸に分解されます。この分解されたアミノ酸から糖をつくるのです。この事を糖新生と言います。そこではじめて脂肪はエネルギーとして燃焼されるのです。そのため、筋肉を分解するために減少するのです。もう一つ、筋肉が減少する理由は、十分な糖質を摂取できない場合には、糖新生を亢進させ糖(グルコース)をつくります。このグルコースは、生命維持に使われます。グルコースのみを栄養源とする組織に供給しなければならないからです。そのグルコースを唯一の栄養源としている赤血球、脳、血糖値等にグルコースを優先的に供給します。言い換えれば、自分を消化してでも、赤血球、脳、血糖値を護るという事です。その結果、筋肉は減少していきます。重要なのは筋肉の糖新生を起こさせないために糖質をどの位摂取すれば良いのかという事です。この糖質、脂肪とタンパク質の摂取比率について、これまでここなってきた研究の項でヒト試験を行いましたので、後アップします。
スライド7 グリコーゲンとは何か? エネルギーの貯蔵物資グリコーゲンは摂取した糖質から肝臓で合成されます。ヒトの体には約300g~400g程度のグリコーゲンが蓄積されています。エネルギー量としては1000Kcal前後で、ヒトのエネルギー必要量の約半日分くらいの蓄積量です。その蓄積場所は肝臓と筋肉です。この二つ同じグリコーゲンですが、利用目的が異なります。肝臓のグリコーゲンは主に血糖値の維持に利用されます。夜間の食事の入ってこない時間の血糖の供給です。もう一つの蓄積場所の筋肉グリコーゲンはエネルギーの供給に利用されます。ですので、肝硬変で肝臓にグリコーゲンの蓄積量が少ない場合には筋肉からグルコースを作り出す糖新生が起こり、筋肉量が減少します。また、筋肉量の多いヒトは筋肉グリコーゲンの量が多く、筋肉を使う労作やスポーツ選手は直接エネルギーの供給源となります。
スライド8 BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)の有効性
BCAAは筋肉の合成促進、疲労軽減、血糖コントロール等、有効性が確認されています。また、筋肉で代謝されるために、肝臓や腎臓への負担も軽減されます。怪我や外科的な手術などをした場合には、筋肉の合成促進としてBCAAの多く含む食品や経腸栄養剤なども利用する場合があります。しかし、BCAAに効果があるとしても、他のアミノ酸とのバランスが重要です。一時的な期間の摂取や投与には問題が少ないとしても、継続的な多量摂取には十分な注意が必要となります。タンパク質(アミノ酸)はヒトの生命活動が始まった時から必ず必要となる物質です。乳幼児期、児童期、青年期、壮年期、中年期、老年期の何れの時期にも不足しないことが重要です。年をとったからあまり食べることはない、肉魚の量も少なくてもいい。この考えは当てはまらないのです。老年期においても生命維持のための代謝は行われています。エネルギーも使われます。勿論、代謝という化学変化にはアミノ酸(タンパク質)が必ず必要とされます。栄養素を運搬する役割はアミノ酸(タンパク質)が担っているのです。最近の研究では細胞の中にあるミトコンドリア内で栄養素の他の物質を運ぶタンパク質の動きが分かるようになりました。まるでヒトが荷物を手にもって二本足で歩きながら運ぶ様子が画像としてみることができます。その二本足のタンパク質の歩く道をつくっているのもタンパク質です。ミトコンドリアという目に見えない組織の中でも所せましとタンパク質は働いているのです。ですから、年だから少しでいいという理論は成り立ちません。老年期になり、食べる量が少なくなった分、質の良いタンパク質の供給が必要となります。動物性食品は“良質なタンパク質”です。「年を取ったら肉を食べましょう!」は的をえた考えなのです。
スライド9 サルコペニア・フレイルの予防には何が必要なのだろうか。
筋力トレーニングなどの負荷により、筋線維に微細な損傷が起こると、筋線維からサイトカインや成長因子などが放出され、筋肉の修復や成長を助ける筋肉の幹細胞であるサテライト細胞が活性化します。筋肥大のためには、より多くのタンパク質合成能力が必要となるため、活性化されたサテライト細胞は筋肉再生のために、筋線維に融合し核を提供します。その結果、筋線維内に新しい核が増えることによって、筋タンパク質の合成が効率よく行われるようになり、アクチン、ミオシンなどの筋タンパク質が増え筋線維が太くなると考えられます。筋肉はタンパク質でできていますが、筋肉の元であるタンパク質の摂取は大切ですが、食事だけで筋タンパク質が増えるかというと、それだけではありません。筋肉に刺激を与えることが重要です。食事だけではだめ。運動だけではだめ。食事と運動、生活のリズムとバランスが重要です。








