恒常性 体重



スライド1 表紙

 Phase1では恒常性(homeosistasis)体重

スライド2 目次

Phase1では恒常性(homeosistasis)について説明します。
Homeosistasisとは人間が生きていく上で必ず調整する機能の事です。言い換えればヒトは片足で立ってもバランスをとって立っているようないる状態。やじろべえのようにいつでも中心をとろうとする状態の事です。

スライド3 高齢者が痩せる原因

高齢者が痩せる原因は多岐に及びます。「社会的・精神的要因」「病期・薬物要因」「加齢」何れの場合でも、入り口はそれぞれ異なるとしても、身体的な影響に及ぼし「サルコペニア(筋肉の減少)」から「フレイル(虚弱)」な状態サルコペニア・フレイルに陥ります。問題は筋肉の減少です。

スライド4 エネルギー消費にかかわる恒常性とは何か

ヒトの細胞は凡そ37兆個。一日にヒトを動かすために必要なエネルギー源は細胞の中のミトコンドリアで作られます。この時作られるエネルギーの通貨であるATPはなんと100㎏ほど作られ、それが熱や筋肉を動かす燃料となります。自分の体重の2倍近くの通貨(お金)を作っているのですね。お金が有ればいろいろな買物ができるのですね。ですからこのATPがエネルギーの通貨(お金)と言われるのです。その代表が体温です。熱産生にも使われます。その他、呼吸、水分の調整、体重の維持、活動などにもこのATPは使われます。


スライド5 体重減少は階段を下る状態

飢餓時に体重が減少する時は一見右肩下がりの直線の下降線を辿ると考えがちですが、実は減る時期とあまり減らない時期が交互に現れます。ダイエットを行うと最初の1~2週間程度では2~3㎏減ったりします。このことは入院を経験することができます。入院して1~2週間の間に体重が2㎏減ったとう経験のある方もいるかと思います。病院の食事が口に合わない・食欲がない等など理由はありますが、2週間で2㎏減ることはあるのでしょうか?2kgの体重(脂肪換算)は14,000Kcalのエネルギーがあります。
極端な話ですが2週間=14日間にすると1日1,000Kcal少なく食べているという事になります。1,800Kcalが必要な人は1日800Kcalしか食べていない計算になります。800Kcalを3食にすると1食あたり270Kcalです。これをご飯に換算すると190g、少し大きめの鮭おにぎり1個程度の量になります。実は入院して2週間で体重が減るのは体から塩分が抜けた証拠です。病院では減塩食が基本ですので一般食のおおよその塩分量は7~8g程度で、特別食では6.0以下の食事となります。入院前の食事では山形県の塩分摂取量は10.2g程度です。これは平均ですので一般の方ならそれ以上摂取しているかと思います。入院前の塩分摂取量と入院中の食事から摂取する塩分量の差は一日5g程度だとすると2週間の入院で2㎏減った方は、凡そ20g位の塩が体から抜けたことになります。尿から排泄された塩分8gは1kgの水を体から外に排出します。20÷8=2.5Ⅼ約2.0~2.5㎏くらいは体から水が排泄されます。勿論、発熱や手術などの極度の障害がある場合は別です。

スライド6 飢餓時の体重減少は時々休憩

何故体重の減少は階段を下るような経過を辿るのでしょう。
一言で言うと「我慢」ですかね。ヒトは食事量が摂取量に対して消費量が多い場合は余分なエネルギーを脂肪として蓄積します。しかし、飢餓や過度なダイエットをすると生体では「このまま体重を減らしたくない」と判断してエネルギーの消費を抑えようとします。個人差はありますが減量を始めて1~2月目あたりから体重の減少が停滞します。ヒトは食事量が減っても余力(脂肪、筋肉)で不足したエネルギーを補います。このことをカタボリズム(異化または異化作用 (異化代謝) ともいう。生体内で起る代謝のうち,化学エネルギーに富む化合物(熱産生三大栄養素)を分解することにより,エネルギーを作る)と言います。そこでカタボリズムも「これ以上の三大栄養素の分解は無理」と判断すると、ヒトのエネルギー消費の大部分(60%)を占める「基礎代謝」を抑制します。基礎代謝とは、覚醒状態の生命活動を維持するために生体で自動的に(生理的に)行われている活動における必要最低限のエネルギーのことです。基礎代謝を抑制する例として、体温を下げる、呼吸を緩やかにする等など活動の量を自制します。この体重の減少が停滞する時期を「適応体重期」・「体重停滞期」などと言います。この時期を過ぎるとエネルギーを消費しにくい体の状態ですので、エネルギー摂取量が少なくてもそれに見合った消費になるわけです。しかし、エネルギーの摂取量が少ないと依然としてカタボリズムは起こっています。カタボリズムの最大のリスクは筋肉が減少することです。特に高齢者の場合は筋肉の減少が命取りになる場合があります。所謂サルコペニアからフレイルの状態になってしまう状態です。因みに、一般の方が自己判断でダイエットを開始すると前述のように1~2月目に体重の減少が鈍化します。食事量を減らしても体重が減らない。そうするとダイエットは止めた。となるわけです。この時点で体の中のエネルギーを燃焼する場所(筋肉)が減少しています。せっかくエネルギーを燃焼してくれる筋肉が少なくなりますのでダイエット前の食事に戻すと同じ量の食事だったとしても燃焼してくれないわけですので余分なエネルギーとなり脂肪が蓄積してきます。これが「リバウンド」です。何回もダイエットを繰り返したヒトはリバウンドの度、元の体重より増えるという悪循環に陥ります。重要なのは筋肉を減らさず減量するという事です。

スライド7 急激な体重減少は筋肉を減らす

それでは何故減量(飢餓)時に筋肉が減少するのでしょうか。
ヒトの組織では偏食傾向の組織があります。エネルギー源を糖質だけに頼る組織です。例えば、脳、神経細胞、赤血球などはエネルギー源を糖(グルコース)に依存しています。ですから糖は絶対に必要なのです。もし、赤血球に糖が行かない・脳に糖が行かない・神経細胞に糖が行かない、そんなことがあればヒトは生命維持が困難になるでしょう。そうすると、飢餓時には食事から糖が入ってこない。または絶対量が少ないとなると自前で糖をつくらなければなりません。そこで自分の体の材料から糖を作ります。その大部分は「筋肉」、筋肉はタンパク質、そしてタンパク質を構成するのがアミノ酸。このアミノ酸から糖を作り出します。これが「糖新生」です。エネルギー源として効率の高いのは脂肪ですが、脂肪をエネルギー源として利用するには糖の力を借りなければなりません。栄養学では「脂肪は糖の炎の中で燃焼する」とう例えが有ります。糖だけをエネルギー源にする組織と脂肪燃焼をさせるために使われる糖。糖は絶対的に必要な栄養素なのですね。自分の体を分解してでも糖を作り出す理由はここにあります。次のスライドでは筋肉から糖を作り出すメカニズムについてお話しします。

スライド8 筋肉から糖をつくるってどういうこと?

ミトコンドリア 1つの細胞に数百~数千個。ヒトの細胞は約37兆個ですからミトコンドリアは約3700兆個〜3京7000兆個もあります。この一つひとつがエネルギーの通貨ATP(体内で必要なエネルギーを供給します)を1日に100㎏も体内で作ります。アミノ酸という物質を聞いたことが有るかと思いますが、このアミノ酸は糖と脂肪からできています。糖からできているア

 

ミノ酸を「糖原性アミノ酸」脂肪からできているアミノ酸を「ケト原性」アミノ酸と言います。平たく言えば、窒素(N)を糖と脂肪で包んでいるような状態です。ですから前項で述べました摂取した糖質が少ない場合はこの糖原性アミノ酸から糖を作って脳や神経細胞、赤血球に糖を供給します。また、ケト原性アミノ酸が脂肪として燃焼するためには糖原性アミノ酸が利用されます。もし糖が供給されなければ赤血球、脳の機能は停止し、死に至ってしまいます。ですから自分の筋肉を分解してでも生命維持のために必要な臓器、細胞に糖を供給するようになっているのですね。この糖新生は細胞内で常にコントロールされています。このような反応は飢餓の時期だけではなく毎日の生活の中では、異化(catabolism)複雑な物質を分解してエネルギーを得る反応。同化(anabolism)エネルギーを使って単純な物質から複雑な物質を合成する反応を繰り返しています。 私たちの生命の維持のために細胞内で行われる異化・同化の両者の反応を合わせて代謝(metabolism)と言います。


スライド9 エネルギーを消費してくれる筋肉が減少すれば消費しきれないエネルギーは脂肪として蓄えられるこの状態  が進めば「サルコペニア肥満」1)

この図は自己判断で行うダイエットの筋肉の減少を示しています。何度もダイエットを繰り返しますと、エネルギーを消費してくれる筋肉が減少し、リバウンドする時は筋肉よりも体脂肪が増えてしまうのです。これが高齢者の場合には体重は変わらないのに筋肉が減少し脂肪が増えるというサルコペニア肥満の状態になるわけです。筋肉の衰えがいろいろな障害を引き寄せてしまいます。


スライド10 脂肪は糖の炎の中で燃焼する

この図は三大熱産生栄養素の燃焼を示します。黒線は糖質の燃焼、青線は脂肪の燃焼、赤線は筋肉(タンパク質)の燃焼です。例えば、「薪」と「マッチ」で例えるならば、三大熱産生栄養素を熱として供給するのが薪。その薪に火をつけるマッチです。糖質は薪とマッチの両方を持っています。脂肪はと言うと、薪だけしか持っていません。筋肉(タンパク質)は薪とマッチの両方を持っています。要するに、薪は糖質、脂肪、たんぱく質の三者が持っていますが、着火剤のマッチを持っているのは糖質とタンパク質の二者になります。エネルギー量としては糖質:4.0Kcal。脂肪:9.0Kcal。タンパク質:4.0Kcalで熱効率の良いのは脂肪の9.0Kcalですが、単独で燃焼することができないのです。ですから着火剤のマッチを糖質もしくはタンパク質から借りなければならないわけですね。図中の黒線(糖質)は一挙に下降を辿っています。糖質は大体1.000Kcal程度(半日分のエネルギー程度)を蓄積していますがヒトの体の中に蓄積をすることが難しい物質です。ですので自分で薪にマッチで火をつけ直ぐに消費されてしまうとともに脂肪燃焼のため糖を供給する。また、偏食傾向の組織に利用されてしまうというため急速に消費されます。前項でも述べたように脂肪が大きなエネルギー源ではありますが薪だけですので単独では燃焼することができません。燃焼するためには糖質が必要となります。しかし、糖質は半日分くらいしか持ち合わせていない。そこで筋肉(タンパク質)から糖新生をして糖を作り脂肪が燃焼しなければならないのです。勿論脂肪の燃焼に利用されると同時に血糖値の維持や脳、赤血球、神経細胞に糖を供給しなければなりませんので赤線のタンパク質は右肩下がりになっていくのですね。また、たんぱく質は自分で薪に火をつけることができますので燃焼としても利用されます。この赤線が下がり続けると体タンパク質が減少することによる「窒素死」となって重篤な状態を引き起こします。
 

スライド11 余談 ダイエットを繰り返すと・・・・